歯磨き粉は何が良いですか? | 牧野歯科医院【公式】 港区浜松町 大門の歯医者
よく頂くご質問より
「歯磨き粉は何が良いですか?」
まずは、12~13年に一度必ず出題される歯科医師国家試験、歯科衛生士国家試験の問題を紹介いたします。
問題
「次の内で、う蝕予防(むし歯予防)に最も効果的なものは何か?」
1・適切なブラッシング指導
2・フッ化物の応用
3・クロルヘキシジンによる含嗽(うがい)
4・甘味制限
この問題は何回出題されても正解率は20パーセント前後なのです。正解は2番。フッ素がむし歯予防に最も効果的であることは世界中のスタンダードなのですが、日本ではいわゆる「ブラッシング神話」が存在し、「歯磨きを一生懸命しないとむし歯になる」というのが常識になってしまっています。
この原因は小学校、中学校で行われている学校歯科保健にルーツがあるように思います(これは私見ですが・・・)。学校保健においては、ブラッシング指導をする際に十分な洗口場所を確保できないため、歯磨剤を使用しないいわゆる「カラ磨き」で指導をするケースが多く、プラーク(歯の汚れ)を染め出ししてこれをきれいにすることに集中して指導する傾向があります。確かにプラークを落とすことは大切なことです。プラークを採取し顕微鏡で見てみるとたくさんの細菌群が確認されます。この細菌たちには、むし歯の原因菌もたくさん存在しますが、歯周病の原因菌もたくさん存在します。
低年齢層のお口の中では歯周病のリスクはあまり高くはありませんが、成人して歯周病リスクが高まることに備えて、ブラッシングの習慣を獲得し自身の健康管理をできるようにすることが健康教育の目的になっているはずです。
まとめると・・・
むし歯予防には・・・フッ化物の応用
歯周病予防には・・・適切なブラッシングによってプラークを可及的に落とす
ことが重要になっているわけです。
さて、ここからが本題です。歯磨き粉の話をするのになぜ、こんな話をしたのか・・・
実は、日本で販売されている歯磨剤の90パーセント以上にフッ化物が配合されています。そうです!「ブラッシング神話」の「カラ磨き」はむし歯予防効果としては不十分であり、その主役は歯磨き粉であったわけです。
それでは、どの歯磨剤を選択すればよいのか??当医院では専用販売の歯磨剤は取り扱ってはおりません。わざわざ専用販売を用意しても、ドラッグストアでお求めになるほうが安価に購入できる可能性が高いからです。メーカーについてもあまりこだわりませんが、お勧めのものは高濃度フッ化物配合のものがよろしいかと思います。日本ではマックス1450ppmフッ化物配合のものが高濃度配合として商品化されています。3大メーカー(ライオン、サンスター、花王)全てから販売されていますのでお好みでチョイスしていただければと思います。
また、ホワイトニング効果のある歯磨剤を問い合わせいただくケースが多くありますが、エビデンスを得ることは難しいのが現状です。ただ、使用してみると効果的なものがあることも事実です。ホワイトニング効果のある歯磨剤は、それを使い続けることはあまり推奨しません。普通の歯磨剤と併用してお使いすることをお勧めします。
ちなみに私個人の使用している歯磨剤をご紹介すると・・・写真のものです。
まとめると
歯磨剤の使用目的は、フッ化物によるむし歯予防効果を期待することが第一で、汚れ落とし、いわゆるプラークの除去は歯ブラシの仕事と理解していただくのがよろしいかと思います。
詳しい説明をご希望でしたら、ご来院の際に問い合わせください。
この次は、「効果的な歯磨き粉の使い方」をご紹介する予定です。